最高裁判所大法廷 昭和22年(れ)290号 判決 1948年6月30日
主文
本件上告を棄却する
理由
辯護人八廣悟一の上告趣意は末尾添附別紙記載の通りである。
しかし憲法第三十七條第一項にいう「公平な裁判所の裁判」とは組織構成等において不公平の惧なき裁判所の裁判という意味である。(昭和二十三年五月五日言渡同年(れ)第一七一號事件大法廷判決参照)所論刑事訴訟法の應急的措置に関する法律第十三條第二項によって国民が右の如き裁判所の裁判を受ける權利を害されるわけはないから右法條が憲法第三十七條第一項に違反するという主張は當らない。其他右法律第十三條が違憲のものであるとなすべき理由は見出さない。(昭和二十三年三月十日言渡同二十二年(れ)第四三號事件大法廷判決参照)されば論旨は同條により上告の理由とならない。
よって上告を棄却すべきものとし裁判所法第十條第一號刑事訴訟法第四百四十六條に從って主文の如く判決する。
以上は裁判官全員一致の意見である。
(裁判長裁判官 塚崎直義 裁判官 長谷川太一郎 裁判官 沢田竹治郎 裁判官 栗山茂 裁判官 真野毅 裁判官 小谷勝重 裁判官 島 保 裁判官 齋藤悠輔 裁判官 藤田八郎 裁判官 岩松三郎 裁判官 河村又介)